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意思表示:通謀虚偽(つうぼうきょぎ)表示について |
スポンサーリンク それでは、このページでは虚偽表示について説明していくね。 まず、「虚偽表示」というのは、『内心の意思』と『表示行為』との不一致に 表示者および相手方が認識しながらする意思表示を言うよ。 相手方と意思の疎通を取りながらする態様から、一般的に「通謀虚偽表示」とも言われているよ。 確かに通謀しているね。 ひよこ君、実際に相手と意思の疎通をはかりながら、意思表示をする場面があると思う? そうだな・・。 どんな状況に『通謀虚偽表示』をするのかは想像できないな。 例えば、こんな状況で虚偽表示がみられるよ。 『例』:ひよこ君が銀行から2000万の借金をしました。 しかし、事業の行き詰まりが原因で銀行に借金を返済する事が 出来なくなってしまいました。 そこで、悪知恵の働いたひよこ君は、債務不履行を原因に銀行が ひよこ君の工場(時価総額1500万)を差し押さえへ来る前に、 当該工場を気心が知れた友人に300万円で売却する事を思いつきました。 この事を友人に相談したところ、『快く引き受けてくれました』が、 実際のところ友人は工場を購入する意思ではなく、 差し押さえを免れさせる為に工場を購入しました。 上記の事例中、どの部分が『虚偽表示』にあたると思うかな? そうだな。 『差し押さえを逃れる為に工場を安値で友人とグルになって売る意思も無いのに売却した』という部分に 虚偽表示があると思うな。 そうだね。 相手方も購入する意思ではなく、差し押さえを妨害する意思で 購入してることから、『虚偽表示』にあたるといえるね。 でも、このような債権者などに対し迷惑となる意思表示は、 『虚偽表示』であるとして無効なんだよ。 その結果、「虚偽表示=意思表示」が無効な場合、 その法律行為も無効となる結果、ひよこ君の友達に対する 代金請求権はもとより友達のひよこ君に対する 土地の引渡請求権や登記の移転請求権も発生しないんだよ。 以上のように債権者等も保護されますが 一々、「無効なのかな?」、「有効なのかな?」と 考える必要が出てくるため、通常、銀行が融資をする際には、 借主若しくは第三者の不動産に抵当権等を設定するよ。 この抵当権等を設定しておくと、万が一、債務者(ひよこ君)が 債務を返済しなかったり、上記の様に詐害目的で第三者に売却したりしても、 ちゃんと抵当物件の競売価格等の範囲内で抵当権者(○×銀行)が 他の債権者に優先して、配当を受けることができるんだよ。 それでは、この通謀虚偽表示による法律行為に 第三者が関係してきた場合について見ていこうか。 まずは下図を見て♪ 上図の第三者が通謀虚偽表示の事を知らなかった場合、 又は多少注意をしても知る事が出来なかった場合には、 例え、私から「前のお取引が通謀虚偽表示によるものだったので、その土地を私に返して下さい。」と 「通謀虚偽表示=無効」を理由に第三者に対し土地の返還請求をしても、その請求は認められないんだ。 これは無効な取引であったとしても、 その外観(友達が適法な取引により所有権を取得したかのような現況)を信じ、 善意の第三者が新たに取引関係に入ってきた以上、 通謀虚偽表示をした当事者が無効を主張する事は、 取引の安全という観点からも認めるべきではないからなんだ。 『虚偽表示の当事者は第三者が出現した事により生じた不利益を甘受すべきである』と言えるね。 ※ここでいう不利益とは、第三者が所有権を取得した事により、 私が返還請求をする事が出来なくなる(=所有権を喪失する)事だよ。 次のページ→錯誤 スポンサーリンク |
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