法律初心者を対象とした、無料で読める法律基礎講座
法律無料基礎講座

錯誤・錯誤無効
 スポンサーリンク


 このページでは錯誤について説明していくよ。

   「錯誤」は「心裡留保」や「虚偽表示」と異なり、
   表示者が「意思」と「表示」との間の不一致に
   気付かずにした意思表示をいうんだよ。
    
   解かりにくいと思うから事例を挙げてみるね。
    
   『錯誤の例』
   ある日の日曜日です。
   Aさんが折り込みチラシを眺めていると、
   大好物の「ポンキチうどん」が格安の150円と
   記載されている事に気付きました。

tokubai_tirasi.png



   Aさんは、「これは安い」と思い、チラシを出している店に来店し、
   「赤いパッケージ」の「ポンキチうどん」をレジに持っていきました。
   
   すると店員が「250円になります」と言ってきました。

tokubai_tenin.png


   Aさんは「えっ150円って書いてあったのに・・!」と、つぶやきた後、商品置き場を確認しに行ったところ
   「新発売の商品」と「そのチラシに掲載されていた商品」とが一緒に並べてあり、
   しかもパッケージの色も同じ赤色あることが判明しました。

tokubai_shouhinn_okiba.png



 えっこれが錯誤なの?

 うん。
   
   まず、錯誤の要件が、

   ①法律行為の「要素」に錯誤があること
   ※この要素とは法律行為の重要な部分をさします。
    この重要性の判断については、もし錯誤が生じていなかった場合、
    このような意思表示を行っていなかっただろうという基準に基づきます。
   
   ②表示者に重大な過失が無い事
   ※重大な過失とは、通常の過失よりも注意力が軽減されています
   「錯誤の例」で解釈すると、「パッケージ色が明らかに違う色なのに
    勘違いした←これ位だと重大な過失ありと判断されます。」
    
    一方、「パッケージ色、商品名が同じで、「新」だけの文字が新商品にあるような時は、
    たとえ勘違いしたとしても「重大な過失あり」とは言えないと思います。

 
 上記の「錯誤の要件」と「錯誤の事例」を照らし合わせて見ると

   ●内心的な意思
   ①Aさんは「商品の赤いパッケージ」と「ポンキチうどん」の表示から、
    それが、チラシに150円と書かれていた商品だと思った。
    
   ●表示行為(この表示に誤りがあった)
   ②150円の「ポンキチうどん」ではなく、
    新商品の250円の「ポンキチうどん」をレジに持って行った。
    
   
   ●意思と表示行為との不一致に気付かなかった
   ③商品のパッケージ色と商品名が同じだった為、
    レジに出した商品が250円の商品だと気が付かなかった。
    

 以上の三点から、
   
錯誤の要件錯誤の事例

法律行為の要素に
錯誤がある

150円のポンキチうどんを購入する意思で
250円の新商品のポンキチうどんを店員さんに表示した。
表示者に重過失が
無い事
パッケージ色が同じだった事や商品名が
同じだった事が原因で「150円の商品と250円の商品」とを取り間違えた。
※過失はあるが、重過失があるとまでは言いがたい。

 
 以上から「事例の意思表示」は「錯誤のある意思表示」である事が解ってもらえたかな? 
 
 ・・・・なんとなく。
 
 ちなみに、事例としてあげた錯誤は
   「表示に誤り」がある場合だったけど、その他に「動機に錯誤がある場合」や
   「表示行為の内容」について錯誤がある場合も『錯誤』に含まれるよ。    

   錯誤に関しては、どの部分に錯誤があるかにより態様が分かれてくるよ。

表示に誤りがある場合(言い違い、見せ間違いなど)表示の錯誤
内容に誤りがある場合(知識不足による勘違いなど)内容の錯誤
その意思表示をする動機に錯誤がある場合動機の錯誤


 錯誤の中でも一番問題となるのが「動機の錯誤」だよ。   
   なぜかと言うと、動機の錯誤が生じた法律行為は、意思と表示行為との間に不一致が生じず、
   その動機にだけ錯誤が生じているから、解釈の仕方次第では錯誤に含まれないことになるからなんだ。

   でも、動機の錯誤と言えるものが社会上問題となることが多い為、「動機の錯誤は錯誤ではない!」と、
   したのでは、民法で錯誤規定を設けたいる意味がなくなるんだよ。

   そこで、動機の錯誤については解釈によって解決しているよ。

 どの様な解釈方法があるかというと有名なところで
   
   ①意思表示をする動機が相手方に示されていれば、
    それは意思表示の内容となり錯誤無効の主張も許されると解釈するもの(最S29、11.26)
   
   ②相手方に対する「動機の表示の有無に関わらず、動機の錯誤も錯誤に含める」と解釈するもの。
   ※この解釈方法では取引の安全との均衡を「法律行為の要素」に重過失が存在するか、
    しないかという点で均衡をとると考えます。



 それでは、錯誤に基づく法律行為をした場合の法律の効果を説明するよ。
   
   まず錯誤による意思表示は「心裡留保」、「虚偽表示」などと異なり、
   表示者の悪意的意思が介入せずになされる為、その法律行為の結果も表示者の予想していなかった
   結果となると言えるよね。
    
   そこで法は取引の安全よりも表示者の権利を保護する為、錯誤に基づく法律行為をした場合、
   その法律行為は原則無効であると規定しているんだ。

   なぜ、原則的に無効としているかと言うと、表示者に重大な過失がある場合にまで、
   錯誤無効としていたのでは取引の安全性を無視することなり妥当ではないからだよ。

 へーそうなんだ。気をつけよう♪

 次のページ→詐欺による意思表示

 スポンサーリンク
 CopyRight(C)2005~ 法律無料基礎講座   著作権・免責事項

inserted by FC2 system