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 法律行為自由の原則(続き)
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 前のページで「法律行為自由の原則」には限界ないし制約があると勉強したよね。
   
   これは、法律行為により有効的な効力が生じない場合がある、
   つまり、法律行為が有効といえる為には、どの様な要件が必要かということに関係するんだよ。
 
 法律行為が有効になる為の要件なんてあるの?

 うん。
   法律行為が有効といえる為には4つの要件を充たさなければならないんだ。
   その要件というのは、以下の4つだよ。
   
   ①法律行為の内容が確定的なものであること。
   ②そして、その内容が実現可能であること。
   ③また、その内容が強行法規に反せず
   ④公序良俗にも反しない事。
 
   1つずつ説明していくね♪

 まず、1つ目の要件「法律行為の内容が確定的なものである事」について見ていこう。
   これは例えば「ひよこ君の所有しているミッキーのぬいぐるみを売りますよ。」と相手方に示すように、
   その売買契約(法律行為)の内容が具体性を有していなければならないということなんだ。
   
   従って、「ひよこ君の物を売りますよ」というような
   売買契約は、その内容が不明確といえ、当該売買契約(法律行為)は無効となるんだ。

   2つ目の要件の「法律行為の内容が実現可能である事」というのは
   例えば、ひよこ君が当日の午前8時に「今日の午前10時に開催するパーティーのために
   着るドレス(作成日数が2日)を午前9時までに作ってください。」という依頼のように、
   内容的には具体性があるけれど、その実現が現実的に不可能な法律行為は無効になるということだよ。
   
   

   3つ目の要件の「法律行為の内容が強行法規に反していない事」に関して見ていこう。

   まず「強行法規」とは当事者間の意思にかかわらず強制的に適用される法規定のことで、
   その適用される法律を当事者で任意に変更したり削除する事ができない法規定をいうんだ。

   ただ「この条文が強行規定だよ。」と、いちいち条文に書いていないから、
   強行法規かどうかの判断は解釈によって決めるんだよ。 

   強行法規に当たるものとして次のようなものがあるよ。
   「土地と建物両方に抵当権が設定されている場合において、運悪くその土地のみの抵当権が実行され、
   第三者がその土地を落札、購入した場合には、その土地に法定地上権が発生する」というもの。

抵当権の実行前・実行後

 上図を見てもらうと解かるように、
   土地のみの抵当権が実行された結果、建物だけの所有者となった田中さんは、
   落札・購入した木村さんの土地を何の権限もなく、建物を介して占拠することになるよね。
   
   この状態では、土地を不法に占拠している事になり、
   何かしらの排除請求がされても、おかしくないよね。
 
 そうだね。
   客観的にみたら、木村さんの土地に何の権利もなく建物を建てている状態だもんね。
   解決策として、こうなる事を想定し、落札される前に自分の土地に借地権などの
   利用権を設定しておけば良かったのかなー。
 
 それがね、
   落札前に自己の土地に何かしらの利用権を設定しておけば、
   落札後に正当な権利に基づき土地の利用が出来るかのように思えるけど、
   日本の法律上、自分の土地に借地権などの利用権を設定する「自己借地権」が認められていないんだ。

 それだと、何も手のうちようがないんだね。

 それは違うよ。
   もしこの状況で、建物の除去請求・立ち退き請求等をされていたのでは、
   社会経済的にも不経済であるし、土地だけの競売を認めた意味がなくなるので、
   先程説明した法定地上権たる権利が認められるんだよ。
   
   まさにこの法定地上権の規定が強行法規といえるんだ。

 なぜ法定地上権の規定が強行法規といえるの?

 それはね。
   法定地上権に関して、当事者間の契約内容で
   「成立期間(法定地上権は○年○月○日で消滅する)」と設定したり、
   「法定地上権が発生する事はない」などと約束しても無効になるからだよ。
 
 そーか。
   当事者間の意思にかかわらず適用されるんだね。

 そうだよ。
   最後に4つ目の要件の
   「法律行為の内容が公序良俗に反していない事」について説明するね。

 豚さん、この「公序良俗」ってなんですか?

 「公序良俗」というのは「社会的な利益および社会的な道徳概念」を意味するよ。
   
   ちょっと解かり辛いと思うから、どんな行為が公序良俗違反に該当する行為かをあげてみるね。

   【公序良俗違反とされる行為の例】  

   売春行為(いわゆる援助交際)
   殺人の請負契約(殺人の依頼)
   暴利行為
   賭博行為など


 なにか、いけない事ばかりだね。

 そうだね。

   以上の4つの要件を充たした法律行為だけが有効なものとして効力を生じることになるんだよ。

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