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物権的請求権
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 このページでは「物権の効力」の一つである「物権的請求権」について見ていこう。

 「物権的請求権」とは、物権の内容を実現するために認められる請求権をいうよ。


   この請求権は侵害の態様によって、
   「物権的返還請求権」、「物権的妨害排除請求権」、「物権的妨害予防請求権」と3つに分かれているよ。



 「物権的返還請求権」とは、目的物の物権の内容の実現が他人の占有によって
   妨げられている場合に、その目的物の返還を請求する物権的請求権をいうよ。

物権的返還請求権

 【返還請求権の要件】

   1:請求権者は占有を喪失した物権者であること
   ※占有を前提としない物権である「地役権」、「抵当権」、「先取特権」の物権者は返還請求はできない。

   2:返還請求の相手方が現に占有をし、目的物の物権の内容を妨害している事
   ※現に占有をしていなければ、占有を妨害した者であっても返還請求の相手方にならない。

   3:返還請求の相手方が、正当な物権者でないこと
   ※相手方が所有権、地上権、留置権などの物権を有していないこと

 占有妨害をした相手方に故意・過失は求められていないよ。
    つまり、天災など相手方の意思に関係なく占有妨害が生じた場合でも返還請求をすることが可能だよ。
    (強風で相手方の土地に、自己の庭にあった備品が飛ばされた場合など)



 「物権的妨害排除請求権」とは、目的物の物権の内容の実現が占有の侵奪以外の方法で
   妨害されている場合に、妨害者に対してその妨害を取り除くよう請求する物権的請求権をいうよ。

物権的妨害排除請求権

  【妨害排除請求の要件】

   1:妨害排除請求の請求者は、現に物権の内容の実現が妨害されている者であること
   ※目的物の占有を目的としない抵当権者も「抵当権に基づき」妨害排除請求をすることが認められています。
抵当権に基づく妨害排除請求

   2:妨害排除請求の相手方は、現に妨害している者であること
   ※他人の土地に建物を建てた者が、その後、当該建物を第三者に譲渡した場合、
   現に妨害をしていない譲渡人に対して妨害排除請求をする事ができない。
譲受人に対する妨害排除請求

 但し、他人の土地上に建物の所有権を取得した者が、自らの意思に基づいて所有権取得の登記を
   経由した場合には、たとえ建物を他に譲渡したとしても、引 き続き右登記名義を保有する限り、
   土地所有者に対し、右譲渡による建物所有権の喪失を主張して建物収去・土地明渡しの義務を
   免れることはできないものと解するのが相当であるとしているよ。(最平成6年2月8日)
譲渡人に対する妨害排除請求

   3:妨害排除請求の相手方が、目的物を占有侵奪以外の方法で妨害していること



 「物権的妨害排除請求権」とは、現に目的物の物権の内容の実現に対して侵害が生じていないが、
   将来に侵害が生ずる恐れがある場合、その侵害発生の防止を請求する物権的請求権をいうよ。

妨害予防請求


 【妨害予防請求の要件】

   1:妨害予防請求権者は、目的物の物権を妨害されるおそれがある物権者であること

   2:妨害予防請求の相手方は、目的物の物権を侵害するおそれがある者であること

   3:妨害予防請求の相手方が、目的物の物権を侵害するおそれがあること

妨害予防請求権の内容

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物権的請求権行使の際の費用負担

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