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物権的請求権行使の際の費用負担
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 物権的請求権が行使された場合、どちらが行使の際の費用を負担するかについて見ていこう。

 物権的請求権が行使された場合の費用負担については
   「行為請求権説」、「忍容(にんよう)請求権説」、「修正行為請求権説」、「責任説」など、諸説あるよ。



 「行為請求権説」は、物権的請求権を相手方に積極的な行為を請求する権利とし、
   その費用負担も相手方とするよ。

行為請求権説

   【行為請求権説に対する批判
   妨害が不可抗力(自然災害等)や第三者の行為に起因する場合でも相手方が費用を負担することになる。

行為請求権説(他説からの批判)       

   妨害排除請求と返還請求が衝突した場合、
   先に訴えた方が相手方に費用を負担させる結果となるため不合理である。

行為請求権説(妨害排除請求権と返還請求権の衝突)

 「忍容請求権説」は、物権請求権を物権の効力と認めているが、人の行為を請求するものではないとして、
   相手方には妨害除去を忍容させるに止まるとしているよ。(費用負担は請求者)

   ※「忍容(にんよう)」とは、他人が一定の行為をなすことを受忍、又は肯定すること。
忍容請求権説

   但し、侵害行為が相手方の行為による場合、
   民法第709条に基づく不法行為による損害賠償請求をすることができるとしているよ。
忍容請求権説

   【忍容請求権説に対する批判
   侵害行為が相手方の行為による場合、物権的請求権とは別に
   不法行為による損害賠償請求をする必要があり面倒である。


 「修正行為請求権説」は、原則的に物権的請求権は行為請求権であると解し、
   例外的に返還請求の相手方が自己の意思によらず(不可抗力(自然災害等)や第三者の行為などに起因して)
   占有している場合に限り、取り戻しを忍容せよと請求するに止まり、その費用を返還請求権者が負担するという
   ものだよ。

修正行為請求権説

修正行為請求権説

   【修正行為請求権説に対する批判】    
   行為請求権説と同様、妨害排除請求の際、
   妨害が不可抗力による場合でも、その費用が相手方負担になるとの批判や、
   返還請求権の場合に限って例外を認める根拠がないとの批判がされているよ。


 「責任説」は、物権的請求権を忍容請求権であると解しつつ、
   相手方に故意・過失がある時にはその費用を相手方負担とする説だよ。


 「判例」は、基本的に行為請求権説に立ち(大判昭和5年10月31日)、
   その侵害が不可抗力による場合には別途考慮するものと解されるよ。(大判昭和12年11月19日)


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