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相続について(単純承認・限定承認・相続放棄)
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 このページでは「相続」について説明していくよ。

   それでは、ひよこ君、
   「相続」はどの様な事が起きると発生すると思う?

 えーと。
   確か、おじいちゃんが亡くなった時に、
   「相続」の単語を聞いた事があるから
   人が亡くなる事と関係があるのかな?

 そうだね。
   おじいちゃん、つまり、人が死亡した場合等に相続が開始するよね。

 「人が死亡した場合等」と、いうことは
   他の原因によっても相続が開始したりするの?
 
 細かいところによく気付いたね♪ そうなんだ。
   人が実際に亡くなった場合の他に、
   「失踪宣告によって擬制死」とみなされた場合にも
   その失踪人が亡くなったとみなされ、相続が開始するよ。

 へぇ、
   実際に人が亡くなっていない場合にも
   相続が開始したりするんだ・・。



 次に、相続が開始した場合の効力を見ていこう。

 相続が開始すると「原則」として被相続人(亡くなった人)の有する財産上の
   権利義務(扶養請求権、生活保護の受給権などの「帰属上の一身専属権」を除く)を
   包括的に承継することになるよ。

相続開始時の包括承継に関する条文(民法896条)

 「包括的」ということは、被相続人の財産が
   「マイナス財産>プラス財産」の場合であっても承継しなければならないの?

相続開始時の包括承継

 民法では、相続人がその様な不利益を被らないよう、
   相続人に次の選択肢から選択する自由を認めているよ。

相続開始時の包括承継に関する承認・放棄の選択

 「単純承認」とは、被相続人が有していた「帰属上の一身専属権」を除く、
   全ての権利義務を包括的に承継することをいうよ。

   民法では、相続が開始した後、相続人が限定承認・相続放棄をしない場合、
   単純承認をしたものとみなしているよ。またこれを「法定単純承認」というよ。

   また、民法では相続人の意思いかんにかかわらず、以下の法定原因によって
   単純承認がされたものとみなしているよ。

法定単純承認の原因
形見分け(大審院判例昭和3年7月3日)東京地裁平成12年3月21日判決・山口地裁徳山支部昭和40年5月13日
法定単純承認の原因:隠匿・秘かな使用

単純承認の効果

 次に、一定の留保を付けて承認する「限定承認」について説明するね。

 「限定承認」とは、被相続人の積極財産(プラスの財産)の限度で、
   消極財産(マイナスの財産)を負担する事を留保して、相続人が相続を承認することをいうよ。

マイナス財産が多い場合の限定承認

プラス財産が多い場合の限定承認

限定承認の効果


 限定承認は、自己のために相続があった事を知った時から3ヶ月以内に、
   相続財産の目録を作成して、家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を
   申述しなければならないよ。

家庭裁判所に限定承認する旨を申述する
相続財産目録作成例
 参照元:http://www.courts.go.jp/tottori/vcms_lf/20211009.pdf(PDF形式)    


 限定承認は相続人全員が共同でしなければならず、
   一人でも欠いていた場合、家庭裁判所は受理をしないよ。

   また、相続人中の一部の者について、3ヶ月の熟慮期間が過ぎ
   法定単純承認の効果が生じた場合でも、他の相続人が3ヶ月の
   熟慮期間内であれば限定承認をすることが可能だよ。(東京地判昭和30年5月6日)



 次は「相続放棄」について見ていこう。

「相続放棄」とは、被相続人の一切の権利義務を承継しない意思表示をいうよ。
   また、相続放棄は自己の為に相続があった事を知った時から3ヶ月以内に、
   その旨を家庭裁判所に申述しなければならないよ。

   相続放棄がされると、その相続に関して初めから相続人とならなかったものとみなされるよ。
  (民法第939条)

相続放棄の効果


 終わりだよ~

 はーい


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