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 時効取得(一部):所有権の一部の時効取得
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 前のページでは、
   時効により所有権を取得する為の要件について説明したけど、
   このページでは時効による所有権の一部取得について
   事例を交えて説明していくね。 

 はーい。

 それでは、まず事例を話してから、
   数問ひよこに質問するね。
    
   【事例】
    Aさん(35歳)は、
   某県に坪数40坪の土地を購入し、その土地に家を建てました。
   また翌年2000年1月1日にAさんの土地に隣接する土地を
   Bさん(30歳)が購入し家を建て、隣近所、仲良く暮らしていました。
toti_itibu.png


   しかし、2009年1月1日、突然Aさんが病気で亡くなってしまい
   Aさんの奥さんSと子供TおよびUさんがAさんを相続しました。
   そして、葬儀後、遺産分割協議を行い、
   相続人のS、T、Uさん達の合意の結果、
   今まで住んでいた家と土地を売ることになりました。

toti_itibu1.png
   

   そして、2010年8月1日に不動産屋さんを家に呼び、
   どの位の値段で土地と家が売れるか聞いてみました。
   
   不動産屋さんは
   「今、ざっと計ったところ坪数が約45坪あるから、
   大体4000万円ぐらいですね」と答えました。
   
   その答えに、奥さんSは「えっ!確か40坪の筈ですが・・・」と
   答えました。
   
   不動産屋さんは、「そんなはずは・・」と思い、
   土地の図面を見てみました、
   すると、確かに図面には40坪と記載されていました。
   そこで再度計測してみると、Bさんの土地に
   Aさん所有のフェンスが食い込んでいる事が発覚しました。
   
   その事を奥さんSに話すと
   「あら、Bさん宅に悪い事しちゃったわね」と答えました。

toti_itibu2.png



   そこで、不動産屋さんは
   「奥さん、Bさんが土地を購入したのは、いつ頃ですか?」
   と、奥さんSに質問をしました。
   
   奥さんSは、
   「えーと、確か2000年の1月1日だったかしら。」と答え、
   
   不動産屋さんは
   「それでは、今日は2010年8月1日なのでBさんの土地の一部を
   時効で取得していますね。」と教えてあげました。
   
   それに対し、奥さんSは
   「えっ!時効!何それ!」と答えました。

toti_jikou.png




 ・・と、こんな事例があったとするね。
   それでは、数点ほど質問するから答えてね。

 はーい!

 じゃーまず質問1
   『不動産屋さんは、時効でBさんの土地の一部を取得している』
   と言っていたけど、土地の一部についても時効で取得する事が
   できると思う?

 そうだなぁ。
   時効対象物全体を占有しなければ、
   時効で取得する事が出来ないとは規定されていないから、
   この場合、つまり土地の一部についての時効取得も認められるのかな。

 そうだね。
   ひよこ君の言うとおり、土地の一部についての時効取得も
   可能であると解されているよ。

   それではこの場合、
   時効で取得するための必要期間は何年だと思う?

 そうだなぁ。
   奥さんSの発言から、Bさんの土地の一部であるという事を
   知らずにフェンスを設置したようにとらえる事ができるから
   この場合、十年が時効取得に必要な期間ではないかな。

 そうだね。
   不動産の時効取得に関しての『過失』の有無の判断は
   登記簿を見たか、見なかったかで判断されているようだから
   この場合、AさんがBさんの土地の登記簿を見たとしても、
   AさんはBさんの土地の一部を占有している事実を知る事が
   困難であったと考えられる為、過失がなかったと解されるよ。

   従って、この場合、時効取得に必要な期間は
   10年であると考えられるね。

   でも、10年必要であるとしても
   この場合、どの時点から起算するのだと思う?

 うーん・・・。
   Aさんが土地を購入した日かな?

 この場合、Bさんの土地の一部を10年以上占有して
   時効取得したと主張する為には、まずその土地がBさんの
   所有物であるという事が前提となるため、
   時効の起算点はBさんが土地を購入した日、
   つまり2000年1月1日となるんだよ。

 あっ!でも、
   Bさんが土地を購入した日から、
   Aさんが死亡した日まで9年しか経過していないけど・・・。

 そうだね。
   実は時効取得するために必要となる占有は
   占有者が死亡した場合、相続人に承継されるんだ。
   そして、相続人は被相続人(Aさん)の占有期間と
   相続人自身の占有期間を併せた占有期間を
   主張する事ができるんだよ。
   
   だからこの場合、
   占有期間が10年であったと主張する事ができるわけなんだ。

 へー。
   それでは、はれてBさんに時効取得による
   所有権移転登記請求が出来るわけだね。

 まーそういう事になるね。
   一つ注意する事は、この事に気付いたBさんが第三者に
   当該時効取得された土地を売却し移転登記を済ませてしまった場合には
   奥さん達は、その第三者にBさんの土地の一部を時効取得したと
   主張する事が出来なくなるんだよ。

 それは大変だ!早く移転登記請求をしなくては。
   訴訟じゃ。訴訟じゃ。

 そんな張り切っても、訴訟の途中でもBさんは
   第三者に所有権移転登記する事ができるから
   それを防ぐ為に裁判所に処分禁止の仮処分を
   申し立てておく事が先決といえるよ。

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