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 取得時効・時効取得:要件・効果

 ひよこ君、
   前のページでは時効制度の存在理由について説明したから、
   ここからは権利を取得する事ができる時効に関して説明するね。

 時効による権利取得ってことだね。

 そうだね。
   民法上用語では「取得時効」又は「時効取得」と呼ばれているよ。
   それでは、一番解かりやすい
   所有権の時効取得について説明していくよ。

   まず所有権を時効により取得する為には、
   @他人のものを、所有の意思をもって
   A平穏かつ公然に
   Bそして、その占有を一定期間占有すること
    
   が条件なんだよ。

jikou_youken.png


 ここで、数点ほど注意してもらいたい事があるんだ。
   それは、「他人のもの」つまり自分の物については
   時効によって権利を取得する事が出来ないように
   解釈する事ができるけど、判例つまり裁判例では
   「他人の物と規定しているのは、自分の所有物に対する
    時効取得は無意味だからにすぎず、絶対的に
    自己の所有物の時効取得が認められないわけではない。」
   と説明していることからも、
   自己の物についての時効取得も認められているんだよ。

   なぜ、裁判所がこの様な事な解釈をしたのかというと
   このような事件があったからなんだ。

 どんな事件なの?

 うん、以下の様な事件となるよ。


   【事件内容】

jikou_taikou.png


   @Aさんが自己所有の土地をBさんに2000年1月1日に売り渡した後、
   Aさんは土地についての登記名義が、いまだ自分名義に
   なっている事を奇貨(※1)とし、2000年3月1日にCさん
   当該土地の権利を売り渡し、その所有権移転登記を済ませてしまった。
   ※1:利用すれば思わぬ利益を得られそうな事柄・機会。
  
   Aそして、その十年後に突然、CさんBさんに対し、
   「登記の名義は私(Cさん)にあるのだから当該土地を私(Cさん)に
   引渡しなさい。」と主張した。
  
   Bその主張に対し、Bさんは「この土地を善意かつ無過失で
   10年間占有していたのだから、時効取得により取得しているはずだ、
   従って、あなたの請求は不当であり応じる事は出来ません。」
   と反論しました。
   
   Cそこで、Cさん
   「何を、おっしゃっているのですか。民法の時効取得規定では
   所有権を時効で取得する事が出来る要件として、その対象を
   《他人の物》と規定しているではありませんか。
   そして、あなたはAさんとの売買契約によって
   所有権を取得しているのだから、当該土地の占有は
   自己の所有物に対する占有であり、取得時効の要件を
   満たしていない以上、時効による所有権取得は
   考えられませんよ。」と主張しました。
   
   D納得がいかないBさんは裁判所に上記の主張をしました。



 こんな事があったんだ。
   結局は先程説明したとおり
   自己の物についての時効取得が認められBさんが保護されたんだ。

   
   では、所有権の取得時効の要件について詳しく見ていこう。
   
 まず、所有権の取得時効の要件に
   「所有の意思をもって占有し・・・」とあったでしょ、
   これは要するに所有する意思もなく占有をしていても
   時効により所有権を取得することはできないという意味なんだ。
    
   つまり、所有意思がない賃貸物などについては、
   ずーと、住んでいても当該賃借物の所有権を取得する事は
   できないんだよ。

   
 そして、「一定期間継続して占有する・・・」とする
   要件についてなんだけど、実際、対象物を一定期間占有継続したことを
   裁判において立証(※2)することは、すごく困難なんだ、
   ※2:証拠をあげて事実を証明すること。
   
   だから、民法の規定で「占有開始時と時効完成時の占有が
   証明できれば、その占有は継続していたものと推定する。」と
   規定されているんだよ。
    
   つまり、占有者は占有が継続していた事を証明しなくても
   良いという事なんだ。 

 最後に「平穏、公然に・・」の部分についてだけど
   まず、「公然」つまり、隠秘(いんぴ)な占有では時効取得
   することが出来ないということなんだ。

 「インピな占有」?

 隠秘な占有っていうのは、
   簡単に言うとコソコソと他人の物を占有することだね。
    
   それから、平穏っていうのは、
   その占有に際して強暴であってはいけないということだよ。
    
   つまり、暴力などに任せて占有していても
   時効取得することが出来ないと言う事だね♪

 そうなんだ。フムフム。
   
   あっ!! 豚君、占有時に自分の物で無い事を知りつつ
   占有していても時効により所有権を取得する事ができるの。
   つまり、おなじみの「悪意」とか「善意」とかだね。

 ひよこ君、ナイスだね。
    ひよこ君の言うとおり、自分の物で無い事を知りつつ
    占有していた場合でも時効の効果でその所有権を取得
    する事ができるよ。
    でもね、占有の開始時に「悪意又は有過失」であるか
    「善意かつ無過失」であるかによって時効取得するのに
    必要な占有期間が変わってくるんだよ。

 どの位、変わってくるの?

 まず、「善意かつ無過失」で占有を開始した時には
   時効取得するのに必要な占有期間は10年になるよ、
   そして、「悪意又は善意でも過失がある場合」には
   必要な占有期間は長くなって20年となるよ。

 それでは、最低20年頑張れば、
   時効で土地を取得する事ができるかも知れないんだね。

 賃貸借や使用貸借といった利用権が成立していなければ
   可能性はあるね。

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