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 権利の客体:どのような物の上に権利が成立する?
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 ひよこ君、
   前のページでは「権利の主体」、つまりどの様なものが権利を享有する事が出来るかについて説明したけど、
   このページでは「権利の客体」、つまりどの様な物の上に権利が成立するかについて説明するね。

 はーい。
   要するに所有権や占有権などの権利が、どの様な「物」の上に成立するかという事だね。

 そうだね。
   それでは、所有権が成立する「物」について考えてみよう。
   ひよこ君は所有権が成立する「物」には、どのような「物」が挙げられると思う?

 ペン、ノート、パソコン、テレビ等、身近な物に所有権が成立するのかな?

 そうだね。
   手で持てる物、持ち上げることが可能な比較的小さな「物」にも所有権が成立しうるね。

 他には、どんな「物」があると思う?
   例えば大きめな物とか。

 そうだな・・。
   大きな物といったら自動車とか家とかが想像できるけど、
   手に持つことが出来ないから「権利が成立する物とは言えないかなー?」

 確かに自動車や家といった「物」は手に所持する事が出来ないね。
   しかし、実はこれらの「物」の上にも権利が成立するんだよ。

   なぜ、手に所持する事が出来ないような「物」の上にも権利が成立するかというと、
   民法では権利の客体、つまり「"物"とは有体物をいう」と規定しているんだ。

 それでは、電力や熱などには権利が成立しないという事なのかな?

 良い所に気がついたね。
   ひよこ君が言うとおり、「物とは有体物をいう」という規定では、
   電力や熱などの無体物の上には、権利が成立しない事になるよね。

   しかし、それだと家庭用の電気メーターを通さず直接変圧器から電気をひいている人に対して、
   電力会社等が「この電力はうちの会社のものなので無断使用しないで下さい」と、主張する事が出来ないよね。

   そのため、今日(こんにち)では有体物を「管理可能物」と読み替えているんだよ。

対象物

  
物に含まれるか?「物とは管理可能物をいう」
と解釈した場合

「物とは有体物をいう」
と解釈した場合

自動車

含まれる含まれる

含まれる含まれる

土地

含まれる含まれる

パソコン

含まれる含まれる

電力会社の電力

含まれる含まれない

太陽

含まれない含まれる

銀河

含まれない含まれる


 次に「物」を態様別に分類して見ていこう。
   ひよこ君、まずは下の図を見てみてね。

mono_bunrui.jpg

 1つずつ見ていこう。

 【不動産】

 「不動産」とは、「土地及びその他の定着物」を指すよ。
 この「土地の定着物」には建物、庭に植えてある樹木、井戸、石垣、などが含まれるよ。

hudousan_zu.jpg

hinokino_sannrin.jpg

 ヒノキ、秋田杉、マツなど建材で使うような樹木の山林は、
   一般家庭で植えられている樹木と違い、
   樹木だけが取引の対象となる事があるので
   第三者に対する対抗要件として立木法による
   登記をすることが認めているよ。
   登記をすることにより土地から独立した
   不動産とみなされるのでその土地を購入
   しなくても良いメリットがあるんだよ。



 【動産】

 「動産」とは、上記の「不動産」以外の「物」を指すんだ。
 ちなみに無記名債権も流通上、動産とみなされているよ。

 (無記名債権は、民法上「債権」の部類に入りますが、商品券、入場券、観覧券など、    
 記名がされていない債権の特徴から動産に近い扱いがされているため、便宜「動産」とみなしています。)    

 ※民法86条第3項:無記名債権は、動産とみなす



 【主物と従物の関係】

 「主物」とは、腕時計の「本体(基盤)」にあたるもので「物」の主たる効力を有するものを指すよ。

 一方、「従物」とは、主物の効力を助ける役割をするもので、腕時計の「リストバンド」がそれに当たるよ。

shubutu_jubutu.jpg



 【元物と果実の関係】

 「元物」とは、利益を生み出すもの、つまり「賃貸物など(収益物)」を指すよ。
   
 一方、「果実」とは、「元物」から生じた利益、つまりこの場合だと、「賃料(家賃)」を指すよ。

gannbutu_kajitu.jpg


 あっ!僕は果実なんだ。(ちょい昔・・・)

 そうだね。

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