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 代襲相続

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 この相続においての相続人は誰になるか分かるかな?

孫の代襲相続

 うーん、配偶者と子が今回の相続(平成23年)の時点で既に亡くなっているから
   第二順位の直系尊属である「父と母」が相続人になるのかな?

 この場合、子(平成21年死亡)が今回の相続開始時点で既に死亡しているので
   子の子供、つまり被相続人からみて「孫」にあたる者が相続人になるよ。



 孫のみが相続人になるんだね。

 相続の開始以前に、「被相続人の子」あるいは「被相続人の兄弟姉妹」が
   死亡、相続欠格・相続廃除によって相続権を失った場合、
   その者の子が代わって相続することになるんだよ。

   これを「代襲相続」というから覚えておいてね ☆

再代襲相続

 では、下の図の場合の相続人を答えてみて。

兄弟姉妹の子までしか代襲相続できない

「配偶者(妻)」と「兄弟姉妹の次男」と・・・・・
    三男とその子供の姪(めい)が既に死亡しているかららららら
    又甥(またおい)が代襲相続して相続人になるのかな?

 この場合、「配偶者(妻)」と「兄弟姉妹である次男」が相続人になるよ。

   なぜ「又甥(またおい)」が相続人にならないかというと
   再代襲について、直系卑属については制限がないのだけど
   (子が相続人でない場合は孫、孫も相続人でない場合は曽孫(そうそん)が、
   曽孫も相続人でない場合は玄孫(げんそん)が相続人となる。)
   傍系である兄弟姉妹については、代襲相続は兄弟姉妹の子(甥・姪)までしか
   認められておらず、 兄弟姉妹の孫(又甥・又姪)には再代襲が認められていないんだよ。



  ※ひ孫=曾孫(そうそん)
  ※やしゃご=玄孫(げんそん)

★ポイント  
 被相続人の子に代襲原因が生じた場合には「孫」が代襲相続するが、
 孫についても代襲原因が生じれば「ひ孫(曽孫)」が代襲相続し、
 ひ孫についても代襲原因が生じれば「やしゃご(玄孫)」が代襲相続する。

 このように直系卑属については制限なく再代襲相続が認められる。

★ポイント  
 直系卑属の場合とは異なり、被相続人の兄弟姉妹に代襲原因が生じれば
  「姪(めい)・甥(おい」が代襲相続することができるが、
 姪甥について代襲原因が生じても「姪孫(てっそん)・又甥(またおい)」が
 代襲相続することはできない。

実子と養子が存在する場合の代襲相続

 では、「実子」と「養子」がいる場合について見ていこう♪




「養子」は「被相続人」とは血がつながってないから
    代襲相続できないのかな?

  養子縁組をすると、養子は縁組の日から養親の嫡出子たる身分を取得し、
   その効果として「養子」と「養親の血族」との間にも
   親族関係(法定血族関係)が発生するよ。

   従って、「実子」と「養子」は各300万円を代襲相続することが出来るよ。

 【民法727条】
  養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、
  血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。



養子縁組前後に生まれた子が存在する場合の代襲相続

  次は「養子縁組前に生まれた子」と「養子縁組後に生まれた子」が
    存在する場合の代襲相続の可否についてみていこう!



 まず、養子縁組前(H15年)に生まれた「子A」が
   被相続人の直系卑属にあたるかが問題になりますが、民法727条の反対解釈として、
   被相続人と養子縁組以前に生まれた子と間には親族関係を生じないものとされているよ。

   つまり、子Aは代襲相続できないよ。

「養子縁組後に生まれた子」については
    被相続人の孫になるため代襲相続ができるよ。

    但し、「養子縁組後に生まれた子」であっても
    養子(ブーコ)が相続開始前に「離縁(養子縁組を解消すること)」すれば
    養親と養子の子(子B)の間の親族関係が消滅するので代襲相続はできなくなるよ。

同時死亡の推定と代襲相続

 では、被相続人と被代襲者が同時に死亡したと推定される場合について見ていこう。



 飛行機事故で同時に死亡したと推定される場合でも
   孫は代襲相続することができるのかな?

 民法887条2項で「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき・・(省略)・・その者の子が
   これを代襲して相続人となる。」と規定して、これは同時に死亡した場合も含むと
   解されているため「孫」は代襲相続することができるよ。


 第32条の2
 数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが
 明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。



 この場合は代襲相続することになるかな?



 うーん、先に「被相続人」が亡くなり、、、
   その後「被相続人の子」が亡くなったから代襲はしないんじゃないかな?

  そうだね。
   この場合は「被相続人」に関する相続が開始し、
   ついで「被相続人の子」に関する相続が開始するので
   代襲相続は問題にならないね。

被代襲者が相続欠格者、相続廃除者、相続放棄者である場合

  では、被代襲者が相続欠格者である場合について見ていこう。。。。。



  この場合、「孫」が代襲して相続することができるよ。

    同様に、「被代襲者」が相続人の廃除とされた場合についても
   「孫」は代襲相続することができるよ。



  被代襲者が相続放棄をした場合に代襲相続ができるかな?



 相続欠格、推定相続人の廃除と同じで代襲相続できるのかな?

 答えは、被代襲者が相続放棄をした場合には代襲相続ができないよ。

   民法第887条第2項で「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、
   又は第891条(相続人の欠格事由)の規定に該当し、若しくは廃除によって、
   その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。
   ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りではない。」と規定していて、
   相続放棄は代襲原因とされていないんだ。


 ★まとめ★
 
  代襲相続が生じる場合は3つに限られる。。

  ・相続開始以前に死亡している場合合合

  ・相続欠格

  ・推定相続人の廃除



 ちなみに、「相続開始後に欠格事由が生じた場合」、
   または「相続開始後に推定相続人の廃除の審判がされた場合」であっても、
   その効果は相続が開始された時点に遡るため代襲相続を妨げることはないよ。

 相続放棄は代襲原因にならない相続放棄は代襲原因にならない(暗記)

親の相続を放棄した場合でも、祖父母の相続について代襲相続ができるか?


 次は「被代襲者」の相続に関して「孫」が相続放棄をした場合であってもも
   「被相続人」の相続について代襲相続ができるかについてだよ。


  お父さんの相続について相続放棄したから、
   おじいちゃんの相続についても代襲相続はできないのかな?

  この場合は代襲相続ができるよ。

 判例で、
 「親の相続を放棄した子が、放棄された親を代襲することを否定する規定は、民法に存在しない。」
 「相続放棄は当該被相続人の相続に関しての相対的な効力を有するにすぎないから、
 親を被相続人とする相続に関して子が相続を放棄したところで、その効力が、
 親を被代襲者、子の直系尊属を被相続人とする相続に関して及ぶものではないと解される。」

  と説明されているよ。


 =その他の抜粋箇所(始め)=
 子は、被代襲者である親の相続を放棄した場合であっても、、
 被代襲者の子で、被相続人の直系卑属で、かつ被相続人の相続開始時に存在するとの
 三つの要件を満たせば、相続放棄された親を代襲して祖父母の相続人となることができると
 解すべきである。

 欠格や廃除の場合と比較してみても、子が被代襲者である親に対する関係で
 欠格事由があるときでも、 子の直系尊属である被相続人に対して欠格事由を持たないときは、
 子は原則として親を代襲して被相続人を相続することができ、
 また、子が被代襲者である親から廃除されたときでも、
 子は親を代襲して子の直系尊属である被相続人を相続できると解釈されているが
 その理由は欠格(原則として)や廃除の効果が相対的であることにある。
 =その他の抜粋箇所(終わり)=

 ■貯金債権支払請求控訴事件より抜粋
  http://j-taki.a.la9.jp/17.3.15.pdf

胎児は代襲相続することができるか?

 次の事例を見ていこう♪



  この場合、胎児は被相続人(祖父)の相続について代襲相続することができるよ。

 まず、胎児は権利能力(私法上の権利・義務の帰属主体となり得る資格)の主体となることが
 「原則できない」とされているよ。

 民法3条
 1:私権の享有は、出生に始まる。
 2:外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。



  しかし、例外として3つの権利能力が胎児にも認められているよ。

  1:損害賠償請求
  2:相続
  3:遺贈

 民法第721条
  胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。


 民法第886条
  1:胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
  2:前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。


 民法第965条
  第886条及び第891条の規定は、受遺者について準用する。


 ※受遺者とは遺贈を受ける者をいう。
 ※遺贈(いぞう)とは、遺言により人(自然人、法人を問わない)に
  遺言者の財産を無償(法律上の無償の意。一定の負担を要求できるが対価性が
  あってはならない)で譲ること。

 少しだけ難しくなるけど「既に生まれたものとみなす」の解釈について2つの説を紹介するね。

 1:停止条件説



 胎児中、すでに損害賠償請求権や相続権、遺贈を受ける権利能力があるのではなく、
 胎児が生まれた時、権利発生時点に遡り(さかのぼり)当該権利を取得していたとする。

 生まれてくることが条件なので、胎児中は権利主体とはならず
 胎児の母が法定代理人となることはできない。


 2:解除条件説


 胎児である段階で権利能力を認め、胎児が死産であった場合には
 遡及的にその権利能力が消滅する。

 解除条件説であれば、胎児中の権利能力を認めるため
 胎児の母が法定代理人になることができる。 

「判例・通説」は停止条件説を採用しているよ。


  ■阪神電鉄事件


 夫(事実婚)が電車にひかれ死亡したため、、、、、
 妻は胎児を代理して鉄道会社と示談をした。

 その後、出産したため、出産した子についての損害賠償請求を鉄道会社にした。

 裁判所は停止条件説に基づき、胎児中になされた示談を否定し、
 出生した子についての損害賠償請求を認めた。

 ※事件の概要は下記サイトで見られます。
 
 ■阪神電鉄事件 ~胎児の権利享受性~
 
(コメント欄でも指摘されていますが、AをY社に置き換えます。)

 誤「X1とX2の親族総代とAの間で協議が行われ・・」
 正「X1とX2の親族総代とYの間で協議が行われ・・」


 →特別受益と具体的相続分の算定



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